スピーカー探しの旅 〜Avalon PM2編〜
スピーカー探しの旅 第三回はAvalon PMシリーズについて話したいと思います。
Avalonは米国Avalon Acoustics社の製品であり、ニール・パテル氏が設計を担当しています。その独特の形状と3Dホログラフィックのように展開する音場は特徴的でもあり、過去に試聴した際に強烈なインパクトがありました。特に気に入っていたのはAvalon Indra Diamondというモデルで、Avalon Diamondをコンパクトにしたようなスピーカーでした。さて、今回紹介するのは、Indraと同じような小ぶりなタイプのPM2です。それでは以降で詳しく話していきたいと思います。
インプレッション
このスピーカーで特筆したいのは「優れたS/N性能」です。試聴した際に感じたのは、異常とも言える「静けさ」でした。その音は禁欲的であり、禅の世界感をイメージさせます。この高いS/N感がもたらす効果は、音を鮮やかに際立たせるという点です。これはテレビのコントラスト比を例えるに出すとわかりやすいです。コントラスト比の高いテレビでは、黒色をきれいに表現することで周囲の色を鮮やかに際立たせることができます。同様にスピーカーにおいても音と音の行間に存在する「無音状態」について、ノイズを徹底的に排除することで同じ効果が得られます。具体的には音離れがよくなり、弱音の表現までディティールを再現できます。
また音場は後方に展開するタイプのようです。セッティングにも依存するかもしれませんが、コンサートホールの後方で聴く感覚に近いと思いました。音色は基本的にノンカラーリングでソースに忠実な表現をするスピーカーのように思えます。
PMシリーズですが、エンクロージャ材質が独自のポリマー素材になったことで、軽量で扱いやすいという良い点があります。軽量にも関わらず高い剛性を保った構造となっており、変な共振がなく安定感のある音が出ていました。
さて、私はAvalon PM1, PM2のカタログにある「インピーダンス負荷に対しては、アンプに影響を及ぼさない設計」ということが気になっており、ショップの方に質問してみました。どうもエンクロージャ材質の変更が影響しているらしく、低出力でもスムーズな再生が可能になったとのことです。ドライバーユニットは、カーボン・グラス逆ドームトゥイーター、セラミック逆ドームのミッドレンジ、ノーメックス・ケブラー複合コーンという3種類のユニットで構成されており、ハイスピードでワイドレンジな再生を可能としPrecision Monitorという名の通り、精密なモニタリングを実現するスピーカーとして仕上がっていると思いました。
試聴システム
機材種別 | 製品名 |
---|---|
CD PLAYER | NAGRA CDC |
D/A CONVERTER | LINN KLIMAX DSM/3 |
PRE AMPLIFIER | LINN KLIMAX DSM/3 |
POWER AMPLIFIER | CH Precision A1.5 Mono |
Avalon PM2で聴きたいベストディスク
ジャズが良くマッチし、楽しく聴けます。禁欲的なAvalom PM2ですがスコット・ハミルトンのテナーサックスが非常に上品に仕上がっており、そのなめらかでクリーミィな質感は極上のスイーツを味わっているような感覚でした。スピーカー探しの旅専用 私的スコアシート
要求仕様 | 個人的評価 | 備考 |
---|---|---|
低域再生の拡充 | ○ | 24Hz〜 |
空間再現性 | ◎ | |
中高域の充実 | ○ | 〜50kHz |
正確な再生 | ◎ | |
セッティング容易性 | ○ | 39kg/本 |
低出力アンプでの再生 | ◎ | |
既存機材の流用 | ○ | |
デザイン | ◎ | |
突出した特長 | ○ | 驚くべき高S/N感 |