スピーカー探しの旅 〜B&W編〜
B&Wと言えば、古くから愛されているスピーカーの1つでしょう。世界中のレコーディングスタジオでも使われており、アビー・ロード・スタジオで使用されているのもB&Wです。リファレンス・スピーカーの代表格であり、イベントや雑誌で目にする方も多いと思います。今回はB&Wの最新機種801D4の試聴機会に恵まれましたので感想を共有させていただきます。
インプレッション
B&Wというとモニタスピーカーというイメージですが、今回のD4シリーズにおいては、良い意味でモニタースピーカーとしての傾向が薄くなった感じがします。ここで言うモニタースピーカーとしての傾向というのは、録音のチェックや調整を行うことを目的とし、録音された音を的確に伝達できる性能のことです。モニタースピーカーを例えるならば、高精度な測定装置です。音を正確にチェックできることはレコーディングでは良い点だと思いますが、音楽鑑賞用途と考えると情報過多となる可能性もあり、聴き疲れるところがあるかもしれません。モニタースピーカーはプロフェッショナル、仕事用のスピーカーというイメージでした。しかしながら、このモニタースピーカーとしての特徴も、実は突き詰めてゆくと、ある地点からモニタースピーカーっぽさを感じさせないレベルに到達するのではないかと思っています。コンピュータグラフィックスやロボット工学の世界では不気味の谷と呼ばれる現象があります。コンピュータグラフィックスやロボットの容姿をよりリアルにして、人間に近づけてゆくと、ある一定のレベルで突然嫌悪感を感じる現象のことです。最近では技術進化により、この不気味の谷を乗り越え、本物と見分けがつかなくなってきています。私はモニタースピーカーにおいても、この不気味の谷現象に近いことが生じていて、それがモニタースピーカーっぽさの正体だったのではないかと考えます。D4シリーズでは技術的進化により、この不気味の谷を見事に乗り越えてきました。今まで感じていた違和感は消滅し、より迷いのないリアルな音となった印象です。
B&Wは世界を代表するスピーカーの1つであり、D4シリーズの進化を知ることでスピーカーの技術進化の方向性を垣間見ることができた気がします。今後、スピーカーの技術進化はどこまで進み、最終的にどのような世界が実現されるのでしょう。非常に楽しみであります。
試聴システム
機材種別 | 製品名 |
---|---|
CD/SACD PLAYER | LUXMAN D10X |
PRE AMPLIFIER | LUXMAN CL1000 |
POWER AMPLIFIER | LUXMAN M10X (BTL) |
B&W 801D4で聴きたいベストディスク
ピアノの表現が秀逸でした。2発の巨大ウーファーは制御が大変そうだと思っていましたが、それらが歪みなくコントロールされることで、ピアノの音が低い部分までしっかりと延びていました。土台である低音が安定することで、低域から高域までの連続性が保証され、安心感のある音となっていました。スピーカー探しの旅専用 私的スコアシート
要求仕様 | 個人的評価 | 備考 |
---|---|---|
低域再生の拡充 | ○ | 13Hz〜 |
空間再現性 | ◎ | |
中高域の充実 | ○ | 〜35kHz |
正確な再生 | ◎ | |
セッティング容易性 | △ | 100kg/本 |
低出力アンプでの再生 | ○ | |
既存機材の流用 | ○ | |
デザイン | ○ | |
突出した特長 | ○ |